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【 性同一性障害特例法改正についての公式声明 】


2008年6月10日、「性同一性障害者の性別の取扱いに関する特例の法律」が改正され、第3条第1項第3号「現に子がいないこと」が「現に未成年の子がいないこと」に改正されました。
まずは、改正に尽力くださった議員のみなさま、関係者の方々、ご協力いただいた全てのみなさまに深く御礼申し上げます。

性同一性障害特例法が2003年7月に成立して5年。私達は当初よりこの「現に子がいないこと」要件に反対し、改正を訴えて参りました。
今回、これだけ厳しい状況の中でこの改正が実現したことは、画期的であり、高く評価すべきであると認識しています。
しかしながら、条文の全文削除とはならず、「未成年の子がいないこと」になってしまい、手放しで喜べる状況ではありません。
確かに、今までは子どもがいれば生涯性別変更ができなかったわけですから前進であることはまちがいありません。が、一歩とはいえず、半歩前進というところでしょうか。

この改正により、未成年の子を持つ当事者は、そのまま取り残されてしまうことになってしまいました。中には、性別変更ができるようになるまで十数年待つ必要がある当事者もいます。
実際には、子どもが小さい程親の関わりが必要であり、そのためにも性別変更が必要であったのにです。

そもそも、性同一性障害特例法は、当事者が置かれている厳しい状況を救済するために生まれたものです。にもかかわらず、性別変更できない人は、その厳しい状況に取り残されているわけであり、それを放置して良いわけがありません。

この要件が設けられた理由として「親が性別変更すれば子が混乱する」「社会秩序が乱れる」などが上げられていますが、これは性別移行と戸籍上の性別変更の混同による誤りで、実際はそのような混乱は生じません。
更に、「家族から慎重な対応を求める意見」があったとのことですが、これらはいずれも性同一性障害に対する誤った認識によるものです。
現に子がいないことを全文削除しても、問題は無いのです。

幸いにも、今回も見直し条項が付加されることになりました。
私達は、それを糧とし、本条文の完全削除をめざします。

更に、戸籍の性別変更が実現すれば、性同一性障害の全ての問題が解決するというわけではありません。
戸籍には性別を変更した事実が生涯残ってしまうため、性別変更の事実が第三者に漏れてしまう可能性がありますし、婚姻や養子縁組にも支障を生じています。
それ以前に、特例法によって性別変更のためには性別適合手術を受けることが前提となっているのに、それを受けられる施設が国内ではごくわずかに限られてしまっているという現状があります。更には、精神領域以外の治療に健康保険は適用されていません。
また、治療を円滑に進めるためには生活の安定が不可欠であるのに、雇用差別をはじめとして社会環境はまだまだ受入が進んでいません。

このようにまだまだ多くの課題が残っています。
gid.jpは、当事者をとりまく環境が少しでも改善されるよう今後も努力を続けて参ります。
引き続き、ご支援、ご助力賜りますよう、切にお願い申し上げます。

2008年6月10日
代表  山本 蘭





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