設立趣旨・公式見解 >> 設立趣意書

2003年1月3日


 性同一性障害(GID)の当事者をとりまく環境は、1998年に埼玉医科大学で性別適合 手術が始まってからの状況と少しも変わらず、相変わらず厳しいものがあります。昨年3月には「女装」を理由として解雇されるというような事件も起きました。しかしながら、昨年は3年B組金八先生の鶴本直効果や競艇の安藤選手のカムアウトなどが話題になり、世間に対してこの問題の認知が一気に広がったように思います。

こうした状況のなか、9月30日に小金井市議会で「ストーカー対策及び本人による訂正請求権等に関し戸籍法の早期改正を求める意見書」が議決され、この中の項目4に「性同一性障害者の性別記載については性別の書換えのできるみちを開くこと。」という一文が記載されました。この議決は私たちに大きな感動と勇気、そして希望を与えてくれました。
その後、11月7日に参議院法務委員会で性同一性障害に関する質問が行われました。続いて12月4日には小金井市で、12月12日には埼玉県新座市で性同一性障害を理由とした印鑑証明書など地方自治体レベルでできる行政文書からの可能な限りの性別欄を撤廃する方向が示されました。
また、12月11日には長野県で質問が行われ、12月19日には小金井市で、12月20日には新座市で、今度は性同一性障害を有する者の人権保障を求める新たな意見書の議決がありました。
この他に、各政党でも性同一性障害に関する勉強会が開かれるなど、一気にいろいろなことが動き始めています。
しかし、小金井市の例も、新座市の例も、そして長野県の例も、こうした事が実現した背景には、当事者の熱心な活動があったことは、忘れてはいけません。

私たちは今まで「プライバシーに配慮して」と、どちらかといえば、世間から隠れて生きてきたように思います。埋没が理想という声があるのも事実です。
しかし、埋没し何もものを言わないのでは世の中はかわりません。誰かがやってくれるのを待っていたのではだめなのです。自分の問題は自分で動かなければ良い方向には進まないのです。

とはいえ、いままでは何かをしたいと思っても、何をすればいいのか具体的にはわかりませんでした。自分にも何かできることがある。そう思う気持ちを受け止めたいし大切にしたい。そしてみなさんの気持をを集めて大きなパワーにしたい。
去年せっかく始まったこの小さなうねりを消すことなく、大きなウェーブに育てていきたい。そういう思いでこの会は発足いたしました。
ですので、この会は自助会ではなく実践部隊と位置づけています。行動する会なのです。
会では、当面取り組むべき項目として、下記を最重要課題と位置づけています。

1. 戸籍の性別訂正の実現
2. 性同一性障害治療の健康保険への適用
3. 地方自治体レベルにおける公文書からの不必要な性別欄の撤廃
4. 住民基本台帳ネットワークからの性別欄および
   性同一性障害を理由とした訂正履歴の削除
5. 履歴書からの性別欄の撤廃

こうした項目を実現するために、国会および地方議員への陳情、関係各省庁への働きかけ、フォーラムの開催、マスコミへの情報宣伝…など様々な活動を行う予定です。

会の名称にTSやTGあるいはトランスジェンダーという言葉を使わず「性同一性障害をかかえる人々」としたことには、わけがあります。
私たちは、好きこのんで性同一性障害の当事者として生きているわけではありません。普通に男性として、あるいは女性として生活できるのであれば、どんなにか楽でしょうか。
でも、楽な生き方もあるとわかっていながら、魂の叫びには勝てません。私たちはいろいろな苦しい思いをしながら、この生き方を選択せざるを得ませんでした。「性同一性障害をかかえる人々」とあえて言う意味はそこにあります。

また「普通に暮らせる社会をめざす」というのは、この会の最終的な目標を表しています。
私たちは、ただ「普通に」暮らしたいだけなのです。何も特別な保護を求めているわけではありません。私たちは、性自認を除いては他の多くの人々と何ら変わることがありません。でも多くの不利益を被ってきています。偏見にさらされています。他の人と同じように「普通に」暮らせること。これが多くの当事者が願っていることなのではないでしょうか。
会の名称には、こうした思いがこめられています。

とにかく、全国の当事者の皆さんが、自分でも何かできることがあるという認識を持ち、そして具体的な行動を起こすこと。
これが大切です。
会の趣旨に賛同し、自分でも何かできることがあると考え、行動する。それが参加資格です。
この運動を、いっしょに考え、そしていっしょに行動していきましょう! みんなの願いをかなえるために。

(注) ここでいう「普通」とは、多様な性のあり方を否定するものではなく、性同一性障害に由来する不当な人権侵害、
不利益がない状態をいいます。



代表  山本 蘭

 
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