関連学会に対し、オンライン診療の拡充を要望
2020年6月15日、gid.jpは、日本精神神経学会およびGID(性同一性障害)学会に対し、オンライン(リモート)診療の拡充を求める要望書を提出いたしました。
広がる新型コロナウィルス感染
新型コロナウィルスによる感染が拡大し、外出自粛の要請や一部クリニックでの受診制限などが行われた結果、少なくない性同一性障害・性別違和を持つ当事者が影響を受けました。 元々性同一性障害を扱う医療機関が少ないため、多くの当事者が遠方まで通っています。そのため長時間の移動を伴うことになり、感染のリスクが高くなっています。また、感染した際の追跡調査や発表方法、医療を受ける際の扱いについても不安が残ります。 さらに手術が延期されたり、渡航制限によってタイをはじめとする諸外国での手術も難しくなってしまいました。 Team Respec and Solidarityという市民団体が行った調査では、治療が中断してしまったという声が496人中21人も存在したとのことです。
医療機関にオンライン診療の拡充を要望
6月15日現在、非常事態宣言は一応解除され、感染は収束に向かいつつあるように見えます。しかし、今後第二波、第三波が襲ってくることは十分予想されます。 4月1日に厚生労働省より、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて という事務連絡が発出されました。これにより従来から可能であったオンライン診療が初診からでも可能になるなど、大幅な緩和がなされました。 手術はさすがに無理ですが、精神療法やホルモン剤の処方箋発行はオンラインでも十分可能です。そこで、外出せずに診療を受けることができるよう、インターネットを用いたオンラインでの診察や処方箋の発行ができる体制の拡充を、関連学会を通じて各医療機関にお願いすることにいたしました。
インフラは整っている
ZoomやGoogle meetなど手軽で安価に利用できるビデオ会話システムが普及してきており。実施は容易になりつつあります。患者側もスマートフォンを利用すれば設備への負担はほぼなくてすむでしょう。そしてこれは患者のメリットだけでなく、医療者の負担の軽減にもつながります。 このように。オンライン診療に対する障壁はほぼありません。あとは医療機関のやる気と対応だけです。ぜひともこの機会にオンライン診療の導入・拡充をご検討ください。 また、今回の通知で初診からでもオンライン診療が可能になったことから、オンライン診療を導入している医療機関は、導入が遅れている医療機関からの患者も積極的に受け入れていただきたきたく思います。 関係学会と各医療機関は、性同一性障害・性別違和を持つ当事者が安心して医療を受け続けることができるよう本要望をご検討いただき、ご助力いただきたくお願いいたします。
当事者のみなさんへ
最後に当事者のみなさんにお願いです。どうか無理をしないでください。 治療を早く進めたい気持ちは十分にわかります。でも、無理をして感染してしまってはさらに辛い日々が待っています。 新型コロナによる感染はいつかは収まります。その日を笑顔で迎えられるよう、まずはご自身の健康を維持することを最優先に考えましょう。